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CINEMA CAF-CONS#93『ロシア革命アニメーション1924-1979』ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ

CINEMA CAF-CONS#93『ロシア革命アニメーション1924-1979』ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ

CINEMA CAF-CONS#93 
『ロシア革命アニメーション1924-1979』ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ

今回のシネマカフコンスは、旧ソヴィエト連邦の共産主義プロパガンダを目的として
作られた短編アニメーション「ロシア革命アニメーション1924-1979」を上映!
『狼に気をつけろ』『前進せよ、今がその時だ』など、
タイトルを聞くだけでもテンションが上がるような作品が目白押し。
ポップでアヴァンギャルド、先鋭的なセンスと過剰なアジテーションに彩られた映像
世界に打ちのめされること間違いなし!A・Bプログラム共に、各6作品厳選上映!!
これまでのアニメーションとは一線を画す、極めて特異なアニメーションの世界!!
是非ご堪能あれ!


<上映予定会場>詳細決定次第順次更新していきます。

●福岡:CAFE SONES
10/13(火)19:30open 20:00start 上映作品【プログラムA】
料金:¥1,000 (要1ドリンクオーダー)
□カフェソネス:092.741.8287 福岡市中央区薬院1-16-18江島ビル101
http://www.sones.cc/

●北九州:cream
10/15(木)19:00【プログラムA】/21:00【プログラムB】
※開場は上映開始の1時間前
各回料金
¥1.500(1ドリンク付き)or
¥1.800(デザートセット付き)or
¥2.000(ディナーセット付き)
□クリーム:093.533.3311 北九州市小倉北区馬借1-15-8
http://www.cream-colony.com/

●北九州:gallery SOAP
10/7(水)19:30 open 20:00 start上映作品【プログラムB】
料金¥1.500(1ドリンク付き)
□ソープ:093.551.5522 北九州市小倉北区鍛冶町1-8-23
http://g-soap.jp/






<解説>
「チェブラーシカ」や、宮崎駿に大きな影響を与えた「雪の女王」またはノルシュテインの
切り絵アニメをロシア・アニメーションの表の顔だとするならば、こちらは我々にはこれま
で窺い知れなかったダークサイド。1917年に始まった共産主義革命の過程で、資本家やファ
シズムそしてアメリカを徹底的に否定し、革命の成果を誇示するために、早くからアニメー
ションのイメージ伝達の即効性に着目していたソヴィエト政府は、人民を洗脳する手段とし
て、共産主義プロパガンダを目的としたアニメという特異なジャンルを80年代末の体制崩壊
まで一貫して発展させていった。今見ると逆にカテゴライズ不能、ポップで刺激的なこれら
短編アニメーションの数々――ジガ・ヴェルトフによるロシア・アヴァンギャルドの影響色
濃いソ連最初期のアニメや、ロシア未来派の雄マヤコフスキーに捧げられたコラージュ・ワ
ーク、そして米ソ冷戦真只中に、資本主義批判の建前のもとに敵国アメリカ以上のポップカ
ルチャー趣味を炸裂させてしまった謎のアジテーション・アニメまで――





【Aプログラム<全6作品:約60分>】

◎『ソビエトのおもちゃ』(1924)監督:ジガ・ヴェルトフ

食欲と性欲を満たし、満腹で動けなくなったブルジョワ。
そこへ労働者と農民がやってきて、ブルジョワの腹を裂いて税金を絞りとる。

◎『百万長者』(1967)監督:ヴィトールド・ボルジロフスキー、ユーリー・プルィトコフ

アメリカは金さえあれば動物だって代議士になれる国。ブルジョワ婦人が自分の飼い犬の
ブルドックに100万ドルを贈与。
金と権力を手に入れたブルドッグはついにはアメリカ議員にまで上り詰める。

◎『予言者と教訓』(1967)監督:ヴャチェスラフ・コチョノチキン

ソ連の台東に怯える資本家たちが怪しげな予言者に群がる。「5カ年計画は机上の空論」
「ファシストとの戦争に敗北」「スプートニクの打ち上げは失敗」、気前の良い予言の連発
に狂喜する資本家たち。でも予言はすべて大外れ。

◎『狼に気をつけろ』(1970)監督:エフィム・ガムブルグ

ヨーロッパの山中で発見された野生の狼少年。孤児院に引き取られた彼は何とか人間性を取
り戻すが、あるときナチスの再興を目的とする組織に捕えられ、戦闘員として再教育を受ける。
破壊的イメージに満ちたダーク・プロパガンダ。

◎『電化を進めよ』(1972)監督:イワン・アクセンチュク

ソ連全土に電線が行き渡りこの地から暗闇が一掃される。共産圏の科学の進歩をサイケデリック
な映像で讃える。「共産主義とはソヴィエトの権力プラス全土の電化であるーレーニン」

◎『射撃場』(1979)監督:ウラジーミル・タラソフ
アメリカの失業者の若者が射撃場で生きた標的になるという職を得る。生身の人間を実弾で狙う
このゲームは大当たり。アメコミ以上にポップな記号に満ち溢れた傑作。

【Bプログラム<全6作品:約60分>】

◎『惑星間革命』(1924)監督:ゼノン・コミッサレンコ、ユーリー・メルクーロフ

地球を逃げ出したブルジョワ階級を追って革命軍が宇宙船で火星へと向かう。そして火星でも
共産主義革命を成就するのだった。ロシア・アヴァンギャルド美術のごった煮アニメーション。

◎「映画サーカス」(1942)監督:レオニード・アマリリク、オリガ・ホダターエワ

スラップスティック・コメディさながら、身の程知らずにもソ連侵攻を企てたヒトラーとその
クローンたちをこっぴどく笑いのめす。

◎「ツイスター氏」(1963)監督:アナトーリー・カラノヴィチ

ソ連に人種差別など存在しない。レニングラードを訪れたアメリカ白人ツイスター氏は、
宿泊先のホテルに有色人種も泊まっていることを知り予約をキャンセル。
そんな彼をいさめるため、どのホテルも彼に部屋を貸さずついにツイスター氏は異国の地で
宿無しに・・・。

◎「株主」(1963)監督:ロマン・ダヴィドフ

アメリカ人工場労働者のチェイス氏は何でもローンで買い揃え豊かな暮しを満喫。
しかしひとたび首を切られるや財産全て差し押さえられ家も奪われ自分の骨まで売る羽目に。
45年も前にサブプライム問題の発生を見事に予言。

◎「生かされない教訓」(1971)監督:ワレンチン・カラヴァエフ

東西ドイツが再統合するとナチスの悪夢が甦ると煽りベルリンの壁を正当化するプロパガンダ。
元ナチ信者がドイツの復権を夢見て東へ向かい行進するが、ベルリンの壁に阻まれてすごすごと
退却する。

◎「前進せよ、今がその時だ」(1977)監督:ウラジーミル・タラソフ

ロシア・アヴァンギャルドを代表する詩人ウラジミール・ヤマコフスキーの詩や、
彼がロトチェンコと共に制作したポスターなどをベースにした、刺激に満ちた前衛アニメーション。


◇公式サイト http://www.takeshobo.co.jp/sp/russia/


【コメント】

★ジガ・ヴェルトフの<キノ・プラウダ>からの作品には誠意がこもっている。
美学上の姿勢が開示され、アニメーションとしてのイメージもよく表現されている。
型にはまったイデオロギ0にとらわれるあまり、美のセンスが台無しになっている作品には
決して見られないよさがある。〜私もアナトーリー・カラノヴィチの<ツイスター氏>に
心ならずも参加している・・・見るに忍びない。
 
>>ユーリー・ノルシュテイン(アニメーション作家「話の話」「霧の中のハリネズミ」)

★今まで外側からしか見ることが出来なかった社会の中に入って、その窓から覗いたら、外に
いる「自分自身」を見てしまったという奇妙な位置と距離感覚の転換に襲われた。
このプログラムは社会主義国から資本主義国へ差し向けられた「鏡」のようだ。
ロシアアニメーションの表現史を一望できるのも大変興味深い。

>>山村浩二(アニメーション作家)

★これを笑い飛ばせる平和な時代に生きている事をよろこぼうではないか。
そうでなければプロパガンダ・アニメーションをふつうの顔をして観る事などできる相談では
ないし、ましてひとつの娯楽として楽しむことなど到底考えられないのだから。

>>赤塚若樹(首都大学東京准教授)

★「ソ連の映画なんて結局、政治宣伝でしょう」とか、「政治に利用される芸術なんて不純だ」
とか、世の中をつまらなくする物の見方しかできない人は、この作品を見る事はない。
ただ指摘しておきたいのは、時代の政治的課題、作品づくりの絶対的な不自由に対する感覚を
持つ人が、ソ連映画では傑作をものにしてきたのだということだ。

>>井上徹(エイゼンシュテイン・シネクラブ<日本>副代表)

★タラソフ!タラソフ!タラソフ!!!!!
ソ連フリージャズのガネーリントリオ、そしてエレキと銃声のマニエリスム・アニメーション!!!
僕はタラソフの「今が其の時だ」(77)と「射撃場」(79)を連続して17回観てしまった。
1924年のジガ・ヴェルトフから始まるこの「ロシア革命アニメーションロシア・アヴァンギャルド
からプロパガンダへ」は、ソ連という国家の半遠近法的走馬灯だ。20世紀とは何だったのかという
琴をここまで明瞭に解き明かす映像があるだろうか。間違いなく1つの封印が解かれたのだと思う。
「なんてすばらしい!」としか言えないではないか。

>>石田尚志(映像作家・美術家)

★無知蒙昧な人民を教化するための道具であったであろうこれらのアニメがなんとアナーキーな
味わいをもっていることでしょう。ここに見る、抑圧、不安、諧謔、そして詩情が愛聴している
プロコフィエフやショスタコーヴィチの音楽と地続きになっているのを感じる事ができて、僕に
とっては新しい発見でいsた。

>>さそうあきら(漫画家)

★アニメーションは静止画の連続だ。静止画と静止画の間の動きは鑑賞者が自身で埋めていく。
その行為と相まって、アニメーションという表現方法とプロパガンダという目的はとても相性が
いい。静止画に魂を宿らせるアニメーターと、魂が逃げ出さないように見張る鑑賞者の共犯関係
がプロパガンダを完成させる。共犯の罪を犯さないよう、私は距離を保って鑑賞していたつもり
だったが、激しい生命力の魂に魅せられ、いつの間にか共犯者となっていた。

>>束芋(現代美術家)

★この創造力、この自由さは果たして本当にプロパガンダなのか?
これは西側の自由主義社会のクリエイターの方が出資者の意向やメディアの自主規制と云った
不自由に囚われているというプロパガンダなのかもしれない。

>>FROGMAN(蛙男商会)





配給:竹書房/協力:アップリンク

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