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『ひなぎく』HP↓
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エスクァイア×69'nersFILM plesents
【エスクァイア ラウンジVOL.4〜チェコ 幻想と妄想の世界〜】
SIDE.B: 『ひなぎく』
1966年/チェコ・スロバキア/75分
監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
出演:イヴァナ・カルバノヴァー/イトカ・チェルホヴァー 他
音楽:イジー・シュスト+イジー・シュルトゥル
配給:チェスキー・ケー
岡崎京子、野宮真貴、カヒミ・カリィ、小泉今日子、Kiiiiiiなど、いつも気になる女子オピニオンリーダーたちが「大好きな映画」と絶賛する60年代女の子映画の決定版!!
‘90年代になってようやく公開された、チェコのヌーヴェルヴァーグの旗手、ヒティロヴァーの幻の名作が、待望のDVD再発売&リバイバル上映決定!!
<上映予定会場>詳細決定次第順次更新していきます。
●福岡:CAFE SONES
10/9(火)20:00/22:00
料金¥1.000(要1ドリンク)
□カフェソネス:092.741.8287 福岡市中央区薬院1-16-18江島ビル101
●北九州:cream
10/14(日)19:00/21:30
料金¥1.500(1ドリンク付き)
料金¥1.800(デザートセット付き)
料金¥2.000(ディナーセット付き)
□クリーム:093.533.3311 北九州市小倉北区馬借1-15-8
●北九州:gallery SOAP
10/17(水)19:30 open 20:00 start
料金¥1.500(1ドリンク付き)
□ソープ 093.551.5522 北九州市小倉北区鍛冶町1-8-23
●福岡:プルミエカフェ
10/28(日)
1st 16:00 open 16:30 start ¥1800(ケーキセット付き)
2nd 18:30 open 19:00 start ¥2000(夜ごはん付き)
□プルミエカフェ 092.928.3777 筑紫野市二日市北1-2-3黒崎ビル1F
●諫早:NEUTRAL+
10/30(火)10/31(水)両日19:00オープン20:00スタート
料金:¥1.500(1ドリンク付き)
□ニュートラル TEL 0957.22.7799 諫早市栄町8-4徒然茶房4F
●広島:+C(プラスシー)
11/16(金)11/17(土)両日19:00オープン 19:30スタート
料金:¥1.500(ドリンク+プチデザート付き)<要予約>
□+C 082.812.0288 広島市安佐北区可部 3-32-16
金髪のボブにひなぎくの花輪を乗せた姉と、こげ茶の髪をうさぎの耳のように結びレースのショールを首にまとう妹。2人は共にマリエと名乗り、男達を騙しては食事をおごらせ、嘘泣きの後、笑いながら逃げ出してしまう。名前も嘘だし、姉妹かどうかもよく判らない。部屋の中で、牛乳風呂を沸かし、紙を燃やし、ソーセージをあぶって食べる。グラビアを切り抜き、ベッドのシーツを切り、ついにはお互いの身体をちょん切り始め、画面全体がコマ切れにされる。色ズレや、カラーリング、実験的な効果音や光学処理、唐突な場面展開など、あらゆる映画的な手法が使われ、衣装や小道具などの美術や音楽のセンスも抜群。ラストの党のパーティー用の豪華な食事をメチャメチャにするシーンが問題とされ、その後に作った『楽園の味』の評価もあいまって、ヒティロヴァー監督はその後7年間、映画製作を許可されなかった。ちなみに、ひなぎくの花言葉は「貞淑」を意味するという。
<DVD再発売 2007.9.21>
『ひなぎく』
1966年/カラー/チェコ・スロヴァキア/75分 価格:3,990円(税込)
■監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
■音楽:イジー・シュスト+イジーシュルトゥル
■出演:イヴァナ・カルバノヴァー(マリエ1役)、イトカ・ツェルホヴァー(マリエ2 役)他
発売:有限会社チェスキー・ケー
販売:株式会社ダゲレオ出版
世界はまるいのです。
今なによりも大切なのは、相互扶助の精神でしょう。(1991年7月20日)
質問への廻送(1981年11月) ヴェラ・ヒティロヴァー
私は現在についての見方をわきまえているか、よくわかりません。だがそれが現実の世界のなかで生じていることへの私の対応・知覚についてならば、最もつよいのは戦争に対する恐怖です。人間の愚かさ、不寛容さへの恐怖です。私は映画の中でそれと戦いつづけてきました。創造は誇張がなければあり得ません。誇張のあらわれ方やスタイルは、さまざまです。題材のとりあげ方、全体の構成、視覚的なくみ立て、視覚と聴覚のかけ合わせ、演技のスタイルのすべてに、誇張はあらわれ、表現することができます。誇張は多様ですが、大切なのはその限度を見つけることです。誇張の限度の発見は、目的を生かすためにどれだけ実験をおこなえるかにあります。危険をおかさず探求もしないひとは、失敗しないかわりに発見への希望も見出せません。映画を作るうえでのアイデアが、どれだけ誇張されて普遍的な意義をもつかということです。年代の変化はよく意識しています。題材の選び方、作品を依頼する人々の狙い、時代の流れのすべてがスタイルの変化にかかわるからです。しかも最も重要なことは、スタイルづくりはくりかえしてはならぬということです。
すでに手にした方法をくりかえし使わない方がいいのです。すでに手にした認識は、日を追うにつれて退屈になるからです。女の監督としては、つねに男の野心や嫉妬のために追われている気持ちになることがあります。男はよくひとの足をひっぱるし、社会体制を観念的につくりあげ、男社会は何でもできる傲慢な顔をします。私はそれと戦ってきました。それはちがいます。私は女としてこういう考え方をしています。その見方は男とはちがいますというふうに、ひとつひとつ戦わねばなりません。これはひどく疲れることです。私が最もいらだつのは、保守主義です。おしつけがま
しい態度、愚かさ、怠けもの根性です。この三つは男たちがつくりあげたもののうちで、つくづく私が考えさせられるものです。そのどうしようもない不寛容さ、無邪気さ加減、あどけなさぶりは、私が男社会をつよく批判する要素です。私はカネを稼いで、おいしいものを食べ、うまく生きていくようにするつもりはありません。実際、稼ぐこともできません。仕事に生き甲斐を求めるのは、そのせいかもわかりません。世界の他の女性監督とはつながりもなく、その仕事も知りません。純粋に自分だけの要素というのは存在しないのではないでしょうか。個性的で創造的な追求は、普遍的な要素の使い方しだいです。私にとって大切なのは、映画の諸要素の構成です。
そこに私の主要な本質があります。部分的な構造の中の対立や対照で第三の意味を語ることです。この対立や対照の方法をできるだけ積極的に利用していきたいのです。そうすることで、二つの意味がぶつかりあい第三の意味が生じるからです。これが映像表現の独自性で、そのすばらしい発見の中にこそ映画自身の秘密がかくされていると、私は思います。
監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
1929年2月2日、チェコ・オストラヴァ生まれ。
’62年、映画大学FAMUの卒業制作『天井』で早くも注目される。その後『ひなぎく』(’66)と『楽園の味』(’69)を発表するが、政府から睨まれ’69年から’76年まで活動を停止させられる。’76年、『リンゴゲーム』で活動を再開。その後の『パネルストーリー』(’79)、『災難』(’80)、『開放者マサリィク』(’90)パロディ・ドキュメンタリー『私をみとめたプラハ市民』(’91)など実験的な作品を作り続けている。
comments
2人の女のこ。2人はこの世の無用の長物で余計ものである。そのことを2人は良く分かっている。
役に立たない無力な少女達。だからこそ彼女達は笑うおしゃれする、お化粧する、男達をだます、走る、ダンスする。遊ぶことだけが彼女達にできること。愉快なばか騒ぎと絶対に本当のことを言わないこと。それが彼女達の戦闘手段。やつらを「ぎゃふん」と言わせるための。死ネ死ネ死ネ死ネ!分かってるよ。私達だって「生きて」いるのよ。
岡崎京子(マンガ家)
”ひなぎく”のあたらしさ
「美のためには食を拒んで死ぬことさえできる、おそるべき精神主義者たち」と、かつてわたしはある少女論にかこつけて書いた。少女にとって、この世にこわい権威は何もない。体制側のヤボなオジさんたちとは、はじめから完全にちがう倫理の下で生きているのだから。そう思いつつ二人の少女のハチャメチャぶりを見ていると、最初と途中に出てくる「鉄」のイメ−ジや終わり方がいかにも象徴的に思えてきた。それにしても六〇年代のさなか、こんな皮肉な映画がカーテンの向こう側で生まれていたとは。チェコの映画人のしたたかさに、あらためて脱帽させられる。
矢川澄子(詩人)
彼女達は、無敵である。若く、美しく、スタイルがよく、センスがいい二人の女性に誰が勝つことができよう。だが、無敵である一番の理由は、彼女二人を、誰も理解していないことである。
無敵であることの、なんと華やかなことか。そして、なんと淋しいことか。
鴻上尚史(劇作家・演出家)
この映画のふたりの女の子はなんだか涙が出るほど自由に生きている。可愛い服を着て、おいしいものをご馳走してもらって、ダンスをして、いつも笑って・・・。
「ひなぎく」ほど悲しいくらい美しい映画は他にはないと思う。
野宮真貴(ミュージシャン)
『私たちダメ人間そのうえいつも忙しいもっと易しい人生を考えなくちゃ私たちになにが欠けてる?死ネ死ネ死ネ死ネ!とてもだめだわだめでも行こうビフテキ食べたい...そんなひなぎく諸先輩方、おかげさまでわたしたちもなんとか生きてる生きてる生きてる生きてる生きまくっております』
Kiiiiiii(U.T.&Lakin'/ミュージシャン)
久しぶりに「ひなぎく」を見て、マリエとマリエが現代への接点を持ち続けていることに驚いてしまった。こんなことを書くと、何年後かは笑われてしまうかもしれないけど、二人のメイクは『さくらん』の土屋アンナみたいだし、部屋中の紙を切り刻み、あげく画面までも切り刻むシーンは、楽器の他に、身の回りの道具をパーカッションやノイズとしてコラージュのように使い、独特の音楽を奏でる、アメリカ人の姉妹デュオ、ココロージーだってきっと大好きなはずだ。パーティ前のテーブルに乗っかって、食べ物を投げ遊ぶ二人を見れば、松本人志の演じるキレキャラ、四万十川料理学校のキャシィ塚本をどうしても思い出してしまう。ひなぎくの二人が蒔いた種は、40年以上
経った今日もどこかで花を咲かせているのだろう。
江口宏志(ブックショップ『UTRECHT』代表)
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