Tellmemore!!#34〜アジア激動編!熱いよタイ映画〜
『ONETAKEONLY』ワン・テイク・オンリー
配給:バイオタイド 提供:フルメディア
今回のTellmemore!!は、2001年のバンコク国際映画祭で上映され、微熱を帯びたスタイリッシュな映像で若者の姿をリアルに描き、高い評価を得た作品『ONETAKEONLY』。『レイン』『theEYE【アイ】』のオキサイド・パン監督が放つスタイリッシュな青春ストーリー!
『ONETAKEONLY』ワン・テイク・オンリー
監督:オキサイド・パン
製作:オキサイド・パン ダニー・パン
撮影:デーチャー・スィーマントラ
音楽:オレンジ・ミュージック
出演:パワリット・モングコンビシット ワナチャダ・シワポーンチャイ
2001年/タイ映画/35mm/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/90分
上映会場
○福岡 前原デパートメント
5/8(土)5/22(土)両日19:30
○福岡:CAFESONES
5/9(日)14:00/17:00/20:00/23:00
5/10(月)20:00/23:00
○赤間:e.g.
5/9(日)5/23(日)両日20:00
○長崎:westend
5/11(火)20:30
5/12(水)18:00/20:00
○北九州:cafeSOAP
5/13(木)20:30
○広島/尾道:924
5/15(土)19:00/21:30
○北九州:cream
5/16(日)14:00/17:30/21:30
○佐賀:REBEER'S!
5/16(日)19:00
5/17(月)21:00
○松山:Qooniecafe&ミライカナイ
Qooniecafe 5/16(日)19:00/23:00
ミライカナイ5/17(月)19:00/21:00/23:00
○北九州:CLUTCH
5/18(火)21:00
○岡山:サウダーヂな夜
5/19(水)21:00
5/23(日)19:00
○福岡:プルミエカフェ
5/23(日)16:30/18:30
○高知:Si-rutu
5/23(日)19:30/22:00
○広島:+C
5/28(金)5/29(土)両日19:30
○久留米:オクターブ
5/29(土)18:00/21:00
○長崎:エスパス
5月下旬
○熊本:イクイップメントフロア
6月上旬
『レイン』や『theEYE【アイ】』で双子のダニーと共同監督し、世界的にも高く評価されているオキサイド・パンが単独で監督し、カラーフィルターやビデオ映像という独特な手法にユーモアを交え、スピード感溢れる展開で仕上げている。『レイン』で耳の聞こえないスナイパー役をクールに演じ、日本の女性観客のハートを掴んだパワリット・モングコンビシットが、今回もバンコクで暮らす若者を自然体で好演。やっと、彼の声を聞く事が出来る。タイでは、あまりにもリアルすぎる内容に映画会社は2年間塩漬けにしたが、漬け込んで食べ頃になった2003年のバレンタイン・デーに一般公開され、話題を呼んだ。
STORY
男は、ギャングに憧れていた。女は、母親に仕送りをする為に学校に通いながら身体を売っていた。不器用に生きる若者二人が、バンコクのストリートで出会い、生き急ぐ。ただ二人は、ほんの小さな幸せを手に入れたかっただけなのに…。
バンコクで暮らすソム(ワナチャダ・シワポーンチャイ)は、男たちに身体を売って故郷の母に仕送りをしている女子学生。可憐な外見とは裏腹に頭の回転が早くしたたかな彼女は街の売れっ子だった。一方、ギャングに憧れながらドラッグの売人をしているチンピラのバン(パワリット・モングコンビシット)は、威勢はいいのだがいまひとつ決断力が無く、しがない日々を送っていた。
そんな二人は、若者の集まるサイアムスクエアで顔見知りになる。ある日、バンは襲われた友達の仕返しに不良たちを襲撃するのだが返り討ちに遭ってしまう。それを助けたのが、偶然通りかかったソムだった。この事件をきっかけに、公営団地の同じ棟に住んでいることを知った二人は、急速に親しくなる。やがて彼らはチームを組み、マフィア相手にドラッグの取引を始める。ちょっとだけ贅沢な生活を手にした二人は、仲間から更に大きな取引に誘われ、危険な仕事を引き受けたのだが…。
PRODUCTIONNOTE
バンコクシリーズ
『レイン』の原題は、『BANGKOKDANGEROUS』。その後にオムニバスホラーの『BANGKOKHAUNTED』(未)を監督したオキサイド・パンは、当初タイで公開時に『SOM+BANK:BANGKOKFORSALE』(ソムとバンクは、ワナチャダとパワリットの実際に使われている愛称)のタイトルで、バンコク3部作にするつもりだった。だが、警察局登記部(映画管轄課)の検閲を受けタイトルを変更するように命じられてしまい、仕方なく当初の『ONETAKEONLY』に戻した。しかもその時に、身体を売る場面やバンが素っ裸で街中を走るシーン等を4箇所修正やカットするように命じられ、公開が1週間延びてしまっている。ちなみにこのタイトルは“ストリートに生きる若者達のリアリズムを見せるため”撮影自体ほぼワンテイクのみで行われていることから名付けられているという。
コンテスト
この映画を制作したフィルムバンコクは出来て新しい会社という事もあり、新鋭映画脚本家を育てようと映画脚本の執筆に関心がある人達を対象に、自分だったらどのような結末にしたいかというシナリオコンテストを開催した。そして優勝者には、映画脚本家への道と奨学金が授与された。
サイアムスクエア
ソムとバンが最初に顔を会わせたり、金を手に入れて買い物をしていた場所はサイアムスクエア。バンコクの中心部にあり、日本で言えば原宿のような若者達の集まるところ。実は、オキサイド・パンやパワリット・モングコンビシットも買い物に来る。二人のお気に入りの店は、日本の漫画キャラクターTシャツを売っている「BOY T−SHIRT」。ここには、二人が店を訪れた時の写真も飾ってある。タイを訪れた際には立ち寄ってみたいスポットのひとつかも。
花飾り売り
なかなか売れない女の子に変わって、ソムが代わりに花飾りを完売するシーンがあったが、タイではよく見かける光景。他には新聞を売ったり、フロントガラスを綺麗にする仕事で金を稼いでいる人達もいる。ちなみにあの花飾りは、バックミラーにぶら下げる。
新たな時代に入ったタイ映画
シネマナビゲーター:木香圭介
タイ映画が日本に入るようになって来たのは、まだ日が浅く2001年辺りから。2000年の暮れに、昨年の東京国際映画祭で審査員を務めたペンエーグ監督のブラックコメディー『6ixtynin9』を筆頭に、刑事アクションの『デッド・アウェイ バンコク大捜査線』、ロングラン上映された『アタック・ナンバーハーフ』、タイでも歴代3位の悲話物語『ナン・ナーク』。戦争ドラマ『少年義勇兵』と一挙に5本公開。翌年には、初の全国ロードショーとなったパン・ブラザース監督の『レイン』に、オキサイド・パン監督デビュー作のトワイライトゾーン・ムービーの『タイムリセット 運命からの逃走』、トムヤンクン・ウエスタン『快盗ブラック★タイガー』、ノスタルジー作『わすれな歌』。残念ながら昨年は少なかったが、アジア各国で上映されたパン・ブラザースのホラー『the EYE』と官能文芸作『ジャンダラ』が公開された。そして今年は『ワン・テイク・オンリー』を筆頭に現在、6本の作品の公開が控えている。タイ映画はいま、新時代を迎えている。1970年代頃に政府が映画保護の為に関税を引
き下げ、映画の製作本数は年鑑200本に達した。だが、80年代になるとアメリカや香港映画の勢いに押され、製作本数が減り始める。これは、当たった映画を真似た作品の氾濫やテレビを賑わすタレントによるコメディー作に頼り、客が離れてしまったから。90年代に入り、新たに音楽産業が映画製作に乗り出してミュージシャン出演によるアイドル映画のヒットはあったが、年鑑の製作本数が増える事は無かった。だが、この頃からミュージックビデオやCM界で活躍していた人達が監督業に乗り出し、世
代交代が始まる。2000年になると新しい映画会社『フィルム・バンク』が作られ、転身組みや海外で映画製作を学んだ留学組みによる新しい感覚の作品が製作され始め、積極的に海外の映画祭にも出品するようになる。これが、一挙に日本になだれ込んで来たのだ。そして若手に負けてられないと、ベテラン監督も腰を上げ歴史大作を製作し、これが歴代1位になる超大ヒット。これに気を良くした映画会社は、海外作品の買い付けを減らして国産映画製作に移行。企業も映画製作に投資をはじめ、タイ映画界は息を吹き返した。この勢いに乗って、劇場では公開されないVCDシネマ(日本で言うVシネマ)の製作が開始。パワリットはVシネマに3本出演し、タイのVシネ王になっている。そしてこの勢いは、香港にも飛び火。『アタック・ナンバーハーフ』が香港でもヒットしたのをきっかけに、香港のピーター・チャン監督がプロデュ−スして、オキサイド・パンに『the EYE』を香港との合作で製作。これをきっかけに海外との合作作品も作られ始め、海外を舞台にした作品も増えている。さらに昨年は、子供が主役の癒し系作とタイ武術アクション作が大ヒット。香港・中国・台湾・インド・韓国が先行したアジア映画界だが、ニューウェーブ旋風が巻き起こったタイ映画界は、ますます熱い。
PROFILE
監督:オキサイド・パン
1965年11月11日香港生まれ。85年に香港のCM製作会社で、ポスト・プロとしてキャリアをスタート。92年にタイのポストプロ社に移り、97年に『タイムリセット 運命からの逃走』で監督デビューし、タイのアカデミー賞にあたるスラサワディー賞で作品と監督賞を受賞。99年に双子の弟ダニーと『レイン』を初共同監督。01年には単独監督第2作となる本作と、第3作となる3本立てオムニバス・ホラー『BANGKOKHAUNED』第3話を製作。02年には香港との合作『theEYE【アイ】』を再び兄弟共同で監督。03年にはプロデュ−スもはじめ、2003年東京国際映画祭で上映された『オーメン』や香港から『風雲 ストームライダーズ』特殊技術チームが参加した『MAHAAUT』がある。公開待機作に単独監督第4作となる『ザ・ビーチ』のアレックス・ガーランド原作の『テッセラクト』と兄弟共同監督の『theEYE2』がある。また、短編のドキュメンタリーも制作している。また、03年からスタートしたVCDシネマ「BITE TILL DIE」シリーズの「THESERIESCARDOFDEATH」&「KILLINGBOX」をパンワリット主演で監督。
<オキサイド・パン監督のコメント>
私には、作りたかった映画が2つありました。ひとつは「Night
Worker」という売春婦についての物語。そしてもうひとつは「Allbymyself」という若いドラッグ・ディーラーの物語です。どちらのプロジェクトも捨てがたかったので、その2つの映画の各シナリオから1人ずつキャラクターを取り上げてまとめてしまおうと決めました。その結果が『ONETAKEONLY』です。売春婦とドラッグ・ディーラーの青春ストーリー。と言っても夢のようなロマンティックな物語ではありません。この映画で見せたかったのはナマのリアリズムです。なぜなら、売春婦とドラッグ・ディーラーの間のロマンスなんて、いくら2人の愛が深くてもスタートから絶望的なものだからです。私はこの点を強調し、社会問題、ロマンス・ドラマを合わせた形でストーリーを伝えました。
パワリット・モングコンビシット (バン役)
1977年6月8日生まれ。タイ商工会議所大学を卒業して、『レイン』で映画デビュー。01年に本作も主演。同じく01年にオバカ作『BODYJUMPER』に、『レイン』の殺し屋役としてカメオ出演。03年からは、製作が始まったVCDシネマに出演。青春物語『ZEROTOHERE』ではミュージシャン役として歌声を披露。『BITE TILL DIE』シリーズの『THESERIESCARDOFDEATH』&『KILLINGBOX』では、またもや銃アクションを披露している。
ワナチャダ・シワポーンチャイ (ソム役)
1982年10月20日生まれ。カセームバンディット大学在学中より主にCM出演で活躍していたが、本作でパン兄弟にヒロインに大抜擢された。その後、結婚・出産のため仕事を休業。大学も中退し、現在は育児に専念している。主な出演CM:タイ航空/コカコーラなど
ぜひぜひお楽しみに!!
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